Home > ゲスト Archive
ゲスト Archive
「そんな顔しないでよ。」とはなんだったのか - ZAINICHIARTへ向けて (緑川雄太郎)
- 2008-07-23 (水)
- ゲスト
ゲスト投稿です。今回は、緑川雄太郎さんです。2007年7月にNam HyoJunと緑川雄太郎のダブルキュレーション「そんな顔しないでよ。」で、在日コリアンと日本のアーティスト総勢20組のアートイベントを開催しました。あれから1年、私たちはどこに向かっているのでしょうか―
–
戦争からアートへ
「ZAINICHIART展を開きます」。Nam君からそう告げられたのは、上海滞在中の2008年7月、Office339でのことでした。 「おーいいじゃん」。ぼくはNam君の思いを受け止めつつ、「在日だけで在日だと言うだけではなくて、日本人の視点があったほうが厚みが出ると思うし、そ もそも在日っていう概念については日本人であるぼくの責任(応答可能性)があるから、ぼくにでも何かできることがあったら何でも言ってね」という旨を伝え ました。
以上のような前提があって、今回このようなかたちでZAINICHIART展に関わることになったのですが、すぐに問題が発生してしまいまし た。それは、日本人としてぼくがどれだけものを言えるのだろうか、それ以前に日本人代表みたいな感じでぼくがしゃしゃり出でしまってもいいのだろうか、い やそもそも日本人がどうであるとか在日がどうであるとかということ自体どうなのか、といった問題です。
日本に住んでいる多くの日本人は、まわりの多くが日本人であるために、自分が日本人であることへの意識は然程高くはないと思います(極めて個 人的な経験からですが)。しかし、在日であるNam君は、日本にいながら日本人ではなく、在日という比較的小さなコミュニティーの中にいて、日本人という マジョリティーに囲まれたマイノリティーとして生活しています。そんなNam君には、在日と日本人という境界線が生々しく引かれています。日本に暮らして いる日本人としては、そんなNam君の出自や経験や考え方には馴染みがなく、ZAINICHIARTと言われても・・・・・・という方は少なくないと思い ます。しかし、実際彼(女)ら在日の友人知人と付き合っていくと、今回のようにZAINICHIARTを立ち上げていこうという声に切実さを感じてやみま せん。
というのも、在日のアーティストが在日のアーティストとして日の目を浴びる場所が、現在の状況においては皆無と言って決して誇張ではないくら いに荒地であるからです。ZAINICHIART展で彼(女)たちは、そんな荒地に自分たちの所在を獲得しようとしているのです。そして、ここで特筆すべ きは、ZAINICHIARTは在日以外の誰かが語るのではなく、在日自らが語るという点です。いつか誰が語ってくれるかわからない寄る辺ない場所を離 れ、自分たちの手でZAINICHIARTを立ち上げようとしているのです。ぼくはここに、彼(女)たちの切実さを感じるのです。
もともとNam君とは2006年の暮れに出会い、2007年の7月には、そんな顔しないでよ(SuperDelixe/六本木)というアート イベントを一緒に企画しました。このそんな顔しないでよは、在日と日本のアーティスト総勢20組が参加し、そんな顔をしてきた在日と日本の若者が、自らの 手でそんな顔をしないような環境をつくっていくために、「そんな顔しないでよ」と声を上げた動きです。ちょうど1年前になりますが、在日と日本の若者が一 歩踏み込み、お互いを知るという貴重な経験のひとつとして少なからず意味があったのではないかと思える出来事になったと思います。
そんな顔しないでよに参加した在日の若者は、在日3世・4世がほとんどで、これまで歴史的・政治的影響下にあった在日1世・2世とは違った考 え方をもった世代です。その内実はそんな顔しないでよの内容に現われていると思いますが、まさにその内容において、在日と日本の関係性に変化が生じ、新し い在り様の可能性がみえてきつつあるのではないかという気分を提示できたのではないかと思います。
それは、在日と日本との間に関わる言語が、戦争という言語から、アートという言語に変わってきたということです。つまり、戦争という共通の言 語・経験・知識を基盤に成立してきた時代状況から、アートという共通の言語・経験・知識を基盤に成立させていこうという時代状況に変化してきたということ です。この変化は、実に重要な変化です。戦争は複雑な問題を孕んでいます。アートもまた複雑です。言語が戦争からアートへと変わったからといって、戦争の 言語・経験・知識が失われたわけではありません。アートの言語は、戦争の言語を取り込みつつ、戦争の言語よりも、より対話的な仕方でお互いの関係を構築し ようとしているのです。
そして今回、本展ZAINICHIART展によって、彼(女)らはその立ち位置を確立しようとしています。ぼくはこの動きに身震いを感じます。そしてその身震いは、本展の展覧会場において、より強みを増して現われてくることでしょう。
以上がZAINICHIART展に寄せる今回のぼくのテクストですが、冒頭で述べた責任がここで果たせたかどうかについては自信がありません。し かしながら、応答を続けてこそ責任(応答可能性)です。これからもZAINICHIARTの彼(女)たちとの応答は続くでしょう。ウンザリで出来ません。
緑川雄太郎
–
【緑川雄太郎】
1983年福島県いわき市に生まれる。2歳半までメキシコに在住後帰国。2007年早稲田大学第二文学部表現芸術系専修退学。在学中に現代思想と 現代アートに抵触し、様々な企画や制作に取り組む。2007年にはそんな顔しないでよ(SuperDeluxe/六本木)、2008年には party(Galaxy Countach/新宿)を企画。2008年9月には自殺をテーマにした自殺展を開催予定。知らないことを知りたい、ただそれだけ。自称チンピラ雑芸員。 テンション上げてこーぜ。おし。
- Comments: 0
- Trackbacks: 1
ゲスト投稿です
- 2008-07-22 (火)
- ゲスト
皆さん、始めまして。
Office339の鳥本です。
とうとう明日ですね。
上海でお待ちしてます。
※MinSu,新作いいじゃん。
- Comments: 4
- Trackbacks: 0
Home > ゲスト Archive
- Search
- Feeds
- Meta